テクニカルパターン

  • 6月 26, 2020
  • 6月 22, 2020
  • FX, 投資
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FX テクニカルパターン

テクニカルパターンは一連のトレードでの勝率を示すことはできるが、個々のトレードにおいては勝てる確率を示すことができない、という独特な特徴がある。コイン投げのどの回でも、表か裏が出る確率は常に五〇対五〇であると分かっている。ところが、注文の流れはどの瞬間でも無秩序であり、図形か数値パターンに基づくどの個々の予測でも、本当に正しい確率を計算することは不可能である。つまり、私たちは一連のトレード内での個々のトレードで、実際に勝てる確率をけっして見つけられないのだ。思い出してほしいが、注文の流れを自分に有利な方向に動かせるほどの力がなければ、ポジションを取ったあとはほかのトレーダーの動きを当てにするしかない。市場が開いているどの瞬間でも、売買注文はあらゆる種類のトレーダーから、あらゆる理由、あらゆる数量で入ってくる。そのため、ほかのトレーダーがどれくらいの確率で何をしそうかを計算する方法はない。もっと具体的に言うと、ほかのトレーダーが私たちのトレード方向に十分な注文を出して、利益をもたらしてくれる確率を計算する方法はない。トレード経験の程度によっては、インサイダー情報に接するか取引所のフロアでトレードをしていれば、確かにそれなりの推測はできるだろう。例えば、巨大なヘッジファンドのマネジャーが電話で、ダウの構成銘柄のかなりの量のポジションを解消する(売る)ところだと私に話したとする。その直後に、私のテクニカル手法で偶然にダウ先物の買いシグナルが点灯したら、私はその買いシグナルで勝てる確率はゼロではないにしても、極めて低いと、合理的に判断するだろう。これは確率をうまく推測しているように思えるが、まったく外している可能性もある。私は注文の流れに影響を与える大口の売り注文があるということを知っているが、ダウ先物かダウ構成銘柄を買おうとしている大口トレーダーがいるかどうかは知りようがない。そういうトレーダーがいれば、ヘッジファンドのマネジャーの売り注文を吸収できるだけでなく、余った買い注文で買い方に有利な注文の流れを引き起こす可能性すらある。私は勝てる確率を推測しようとしたが、実際には役に立たない。インサイダー情報を利用したことで、一見すると確実に負けるように思えたために、勝ちトレードに乗れなかったからだ。私たちは個々の予測では、どんな場合でも勝てる確率を計算できない。ほかのトレーダーがどんな注文をどれだけの数量出すつもりか、事前に知る方法がないからだ。私たちがポジションを取ったあと、取引所に入る「予定の」注文の数量や種類に基づけば、一連の予測内でのでの個々の予測が当たる確率は、多くのトレーダーが誤解している五〇対五〇ではなく、〇~九九%のうちのどの数字でもあり得る。多くのトレーダー、特に経験が浅い人は、値動きは上か下かの二方向しかあり得ないから、個々のトレードで勝てる確率も基本的にコイン投げと同じ五〇対五〇だと誤解している。コイン投げで表か裏が出る確率が五〇対五〇なのは、コインの重さが「均一」だからだ。ところが、価格は取引所に入ってくる「不均一な」数量の売買注文によって動く。そのため、価格は上か下にしか動かないが、小口の買い注文を出した数分後に、ヘッジファンドのマネジャーが非常に大量の売り注文を出したら、そのトレードで利益が出る確率はゼロに近いだろう。つまり、価格が上か下にしか動かないという事実は、個々の予測がどれくらいの確率で当たるかとは何の関係もない。価格が上げるか下げるかの確率は、直後に入る注文数に応じて決まる。私たちはだれが、どんな数の買い注文か売り注文を出すつもりなのか知るよしもない。したがって、一連の予測内での個々の予測で勝てる確率は、どんな場合でも常に未知の変数であり、それは一連のトレードに対して計算される平均の勝率とは何の関係もない。第三の特徴パターンや方程式はなぜ勝っているのか、あるいは負けているのかを伝えてくれない。トレーダーたちが取引所に入れようとしている注文の種類や数を事前に知ることはできないゆえに、個々の予測が当たる確率は計算できない。また同様に、彼らがそれらの注文を出す理由も同様に知りようがない。つまり、売買注文の流れがテクニカル分析の予測方向に実際に片寄るとしても、そうなる本当の理由を図形パターンや方程式に基づく予測で推し量ることはできない。例えば、第4章で取り上げた元フロアトレーダーが大豆の先物を四〇〇枚売ると決めた同じ日に、あなたも大豆先物のトレードをしていたとしよう。そして、彼の注文がフロアに届く直前に、前の章で述べたような、短期の七期間移動平均線が長期の一六期間移動平均線を上から下に抜ける売りシグナルが点灯したとする。それで、あなたは五〇〇〇ブッシェルの先物を二枚売る注文をした。その注文が約定して約一五分後には、相場があなたのトレード方向に一〇セント(一〇〇〇ドル)以上動いていて、勝っていた。注文の流れの片寄りで、価格があなたの利益になる方向に動いたのは、元フロアトレーダーの売り注文が、大豆ピットで売りの連鎖反応を引き起こしたからだ。それでも、彼の売り注文が取引所に届く数分前に、あなたのチャート上の七期間と一六期間の移動平均線が交差して、売りシグナルが点灯したのは基本的に偶然の一致にすぎない。売り注文を出すというあなたの判断を正当化する分析基準と、ほかのトレーダーたちがあなたに利益をもたらすほどの数量を売ると決めた理由との間には、何の関係もなかった。二つの移動平均線が下向きに交差したときにこの数値パターンが伝えていることは、過去のこのパターンに従ったときの一連の結果に基づけ基づけば、今すぐに売り注文を出せば、価格が下がる確率は高い「かもしれない」、ということだ。しかし、注文の流れの観点に立てば、このパターンは、価格が「どうやって」あなたの有利な方向に動くのかや、動く「理由」を示していない。私たちが図形パターンを特定するために使った式や、チャートに引いた線は、注文の流れに「だれが」参加することになるのか、あるいは価格が本当に私たちの有利な方向に動くとしても、実際に「どうやって」動くのかを伝えることはできない。また、ほかのトレーダーが値動きの方向に影響を与えるトレードを仕掛けるか手仕舞おうと決める「理由」を伝えることもできない。彼らの売買注文は、その理由を付けて取引所に入ってはこないのだ。トレーダーが仕掛けや手仕舞いを正当化する理由を注文に付けて送ってくれば、取引所は市場でその理由を公表できる。だが、そんなことは起きないので、それぞれの売買注文を出す動機は個々のトレーダーの頭の中にとどまっている。だから、それらの理由はほかの市場参加者には「見えない」。もちろん、彼らがだれかほかの人にもらさないかぎりはだが。自分のトレードが含み益か含み損になっている理由(つまり、売り注文よりも多くの買い注文が取引所に入っている理由、あるいはその逆)を確実に知るには、個々のトレーダーに尋ねるしかない。例えば、買いポジションを取ったら、含み益になったとする。そして、自分が買った理由と、価格が自分のトレード方向に動いた理由が相関しているかどうか確かめたいとする。そのためには、自分のトレード方向に注文の流れを片寄らせる買い注文を出したトレーダー全員を特定して、調査をしなければならないだろう。それらのトレーダーを特定するには、自分がかかわった期間の注文の流れの詳細と、だれが各注文を出したのかを取引所が明らかにしてくれる必要がある。私の知るかぎり、取引所はその種の情報を一般にも、だれにも提供しない。だが、議論のために、取引所が必要な連絡先を教えてくれて、自分が含み益になるのに役立つ注文を出した理由を彼らに尋ねたとする。分かることは、自己資金の運用に使っている貴重で高額なトレード手法については、だれもおそらく話さないということだ。進んで話すトレーダーがいても、彼らが話そうと決めたことが真実かどうかは確かめようがない。そもそも、彼らが真実を話す理由があるだろうか。そんなことをすれば、トレードを何よりも重視しているという根拠が崩れるだけではないだろうか。全員ではないにしても、ほとんどのトレーダーは専門知識のレベルに関係なく、特定のトレードをする「理由」をほかのトレーダーに正直に明かしはしない。トレード界とはそういうところなのだ。これは非難ではなく、明白な事実にすぎない。だが、彼らが真実を話すかどうかに関係なく、売買注文の流れに影響を及ぼす市場参加者は極めて多様であり、彼らが注文を出す動機もさまざまだ。そのため、たとえほかの参加者が売買する理由を知る現実的な方法があったとしても、パソコンの画面でテクニカル分析をしている一般トレーダーの理由とそれ以外の市場参加者の理由に相関関係がある可能性は限りなく低いだろう。自分とまったく同じテクニカル分析を使っているトレーダーからの注文が優勢であるせいで含み益になっているときでさえ、それが含み益になった本当の理由なのかを知る方法はない。電子取引ツールが登場する以前に、人々が取引所のフロアでトレードをするために、どうして何十万ドルも払って会員権を買ったのだろうか。それは、注文の流れやその情報にじかに接するためだった。そうすることで、彼らはパソコンの画面上に価格が並んだ買いの板や売りの板という形ではなく、注文の流れの情報に自ら接して、最良で最も効率的な執行をすることができた。注文の流れの情報にじかに接すれば、だれが市場に注文を出しているのかや、その数を見聞きできる。ほとんどの場合、彼らは自分のトレードの相手側にいる個人や組織を知っていた。また、場合によっては、彼らが仕掛けた理由と、注文の流れが自分のトレード方向に動いたり動かなかったりした理由との間に直接の関係があるかどうかもはっきり分かった。しかし、パソコンの画面上でテクニカル分析をする私たちにとって、価格が自分のトレード方向に動いた理由がはっきり分かるのは、価格が動くほどの数量の注文を自分で出したときだけだ。しかし、トレード界のすべての人々のなかでは圧倒的な少数派だが、価格がなぜ自分のトレード方向に動いているかをはっきりと分かっているトレーダーもいる。そして、あなたがその一人になることも確かに可能ではある。直近の価格のすぐ上の売り気配値をすべて取り除くほどの買い注文を出して、さらにひとつ上の価格にわざと買い注文を出しさえすればよいのだ。あるいは、直近の価格のすぐ下の買い気配値をすべて取り除くほどの売り注文を出して、さらにひとつ下の価格にわざと売り注文を出しさえすればよい。意図的に価格を上げ下げできるトレーダーは、なぜ価格が自分のトレード方向に動いているのか、なぜ自分が含み益になっているのか、なぜ自分の注文の相手方になった人が損をしているのかをはっきりと分かっている。なぜなら、それを引き起こしたのが自分だからだ。そんなトレーダーと異なり、自分に有利な方向に注文の流れを片寄らせることができるほど大量に注文を出せないのなら、トレードをする前の分析や理屈や推理とトレードの結果との関係で見た場合、売買注文の流れで考えられる主な状況は四つある。①自分の分析が正しくて、勝つa.この一番目の状況で自分の分析が正しいのは、値動きの方向を予測する前提として使う自分の分析基準と、ほかのトレーダーたちが自分の予測と同じ方向に価格を動かすほどの注文を出すに至った理由が基本的に同じときだ。つまり、予測どおりの値動きになったのは、買い注文数と売り注文数の比率に対して、自分が最初に予測した理由と同じ理由で出された注文のほうが優勢だったからだ。②自分の分析は間違っていたが、それでも勝つa.この第二の状況では、注文の流れとの「予定どおりの偶然の一致」、または「予定どおりのシンクロ」と私が名付けたことが起きたためために、価格が自分のトレード方向に動いた。勝つのは「予定どおり」だ。なぜなら、分析の目的は集合的な行動パターンを見つけて、パターンが完成したあとにトレーダーたちが値動きの方向に与える影響を予測することだからだ。一方、トレードで勝つのは、注文の流れとの「偶然の一致」、または「シンクロ」の場合もある。なぜなら、自分のトレード方向に注文の比率を片寄らせた注文は、ほかのトレーダーの動きを予測するために使った図形パターンや数値を決める基準とは何の関係もないかもしれないからだ。言い換えると、自分のトレード方向への値動きをもたらした注文が、値動きの方向を予測するために使った自分の分析基準と「異なる」理由で出された程度に応じて、勝ったのは注文の流れとの「予定どおりのシンクロ」であるか否かが変わる。b.相関関係はなかったが、買い注文と売り注文の比率を自分の有利なほうに片寄らせた注文は投機目的ではなく、契約を果たすかヘッジ目的のために出された可能性がある。あるいは、値動き方向の分析では同じ結論に達したが、まったく異なるテクニカルかファンダメンタルズかニュースを理由に、スペキュレーターが注文を出した可能性もある。勝っても、自分のトレード方向に価格を動かした注文のどれも、自分が予測で使った分析基準と「一致する」理由で出された必要はないということを理解することだ。③自分の分析が間違っていて、負けるa.この第三の状況では、値動き方向を間違って予測したために、負ける。取引所に入る注文のうちで、自分の予測と反対方向の注文が優勢であるためには、ほかのスペキュレーターの分析か論理か推理が値動き方向について異なる結論に至ったか、ほかのトレーダーが投機目的ではなく、ヘッジか限月上の理由で自分の予測と反対方向に注文を出したはずだ。この状況はおそらく、注文の流れとの「逆のシンクロ」とたぶん呼べるだろう。④自分の分析は正しいのに、負けるa.この第四の状況では、同じ理由で同様の注文を出そうとするトレーダーが優位に立つという分析をして、それは正しかった。状況はほとんど完璧に読めていた。百パーセントではないが、それに近い正確さだった。それにもかかわらず、気づくと負けている。b.この状況で起きたことはこうだ。トレーダーの大多数は自分の分析と同じ理由で行動した。だが、分析は少数の大口トレーダーを考慮しなかったか、できなかった。彼らは何らかの理由で、大多数に同意しなかったか、状況をうまく利用するほかの方法を考えついていた。比較的少数の大口トレーダーが大多数からの注文すべてを吸収するのに必要な数を上回る注文を出す気があるかぎり、彼らは大多数のトレード方向への値動きを止められるだけでなく、注文の流れの比率を彼らの側に片寄らせることもできる。c.合意という観点では、トレーダーのかなりの割合が自分と考えが一致していたので、分析は正しかったと言える。しかし、売買注文の流れという観点では、間違った側に立って負けた以上、分析が正しかったということは重要ではなかった。値動きは注文を出す人数ではなく、注文の流れの量に応じて決まるということを常に頭に入れておこう。だから、多くのトレーダーが特定の方向に価格が動くと判断した理由が妥当であっても、それをひっくり返すには、世界のどこかに大口トレーダーが一人いれば済むのだ。